• PET/CT合体装置とPET単独装置の違い
  • がんの症例からみたPET/CTの有用性
    • 悪性リンパ腫
    • 大腸・直腸がん
    • 肺がん

悪性リンパ腫のPET/CT検査

病巣の発見と病期分類

悪性リンパ腫は、リンパ節を中心に起きる疾患です。最近では、化学療法を中心とした治療法の進歩により、治癒が期待される疾患と言われています。とりわけ早期のものでは、比較的、負担の少ない治療により治癒が期待できます。

悪性リンパ腫は、ブドウ糖類似物質のFDGが強く高率に集積する疾患の1つであり、PET/CT検査は非常に有用性が高いといわれています。形態とサイズに依存するCT検査と比較しても、FDG PETの病変を見つけ出す能力は15%程度高いと報告されています。

Isasi CR らは、多くの施設からの報告に基づいたメタ解析により、FDG PET単独検査の病変を見つけ出す能力は患者単位で中間感度90%、病巣単位では中間感度97%と報告しています(Cancer 104;1066-1074, 2005)。ただし、悪性リンパ腫と一口に言っても組織型には様々のものがあり、一部の組織型では、FDG PET単独検査では集積し難く見つけ出しにくいものがあると言われており、注意が必要です。CTで病変が認められても、FDG PET単独検査では異常集積が認められない種類のものがあるということです。

セントヒル病院セムイPET診断・放射線治療サイトに設置されているPET/CT合体装置では、FDG PETとCT検査による形態診断が同時にできますので、FDG PET単独検査では異常集積が認められない種類のものにも有効です。また、悪性リンパ腫はリンパ節のみならず、脾臓や腸管などが原発巣となるものがあり、PET/CT合体装置では、異常集積がこれらの臓器に集積していることが正しく判定でき有用です。

悪性リンパ腫の治療方針の決定には、病期分類が鍵を握ると言われています。悪性リンパ腫では、全身のリンパ節や臓器に病変が起きやすい疾患であり、全身的に病変の有無を検査することが重要です。全身的に検査できるFDG PET検査を病期分類に導入すると、10−40%の症例で、CT単独検査など従来法による病期が変更となると報告されています。さらに、病期が変更になった症例の約半数で治療方針も変更されたと報告されています。CT単独検査とFDG PET検査を比較すると、CT単独検査で鋭敏度26%-100%と特異度50%-100%に対して、FDG PET検査では鋭敏度86%-100%と特異度92%-100%であり、FDG PET検査の方がより安定して高い病期分類が可能になると報告されています。

セントヒル病院セムイPET診断・放射線治療サイトに設置されているPET/CT合体装置での経験でも、CT検査では腫大していない比較的小さいリンパ節でも、同時に同じ位置で撮像されたFDG PET検査では、異常集積を認めることは多々あります。PET/CT合体装置による検査は、造影CTと比較しても正しく病期分類ができると考えられます。Schaefer NGらによる報告では、PET/CT合体装置検査と造影CT検査を比較すると、リンパ節病変の検出における鋭敏度と特異度は造影CT検査で88%と86%に対して、FDG PET検査では94%と100%であり、PET/CT合体装置検査の方が優れるとされています(Schaefer NG, et al. Radiology 2004;232(3):823–829)。造影CT検査は、空間分解能は高く高品質の形態画像が得られますが、この検査のみに依存していては、正しい病期分類と治療方針の決定が行えないことがあると考えられます。

次の図は、PET/CT検診で見つけられた悪性リンパ腫の例です。PET画像では、全身のリンパ節に異常集積があるのが見つかりました。PET/CT合体装置で得られたPET/CT融合像では、どの位置のリンパ節に異常集積があるのかが良く判り、CT検査では腫大していない比較的小さいリンパ節にも異常集積があるのが客観的に示されています。異常集積のあるリンパ節に対して細胞検査がされ診断が付けられ、治療が行なわれることになりました。

全身のリンパ節に異常集積が発見されたPET画像

次の図は、全身的な病変の広がりが無いかどうかをPET/CT検査合体装置で検査された悪性リンパ腫の例です。左に示すようにPET単独検査で異常集積が全身的多数認められていますが、それぞれの異常集積部の正確な位置の判定は困難です。同じ体位で同じ位置で撮像されるPETとCT画像が同時に得られるPET/CT検査合体装置では、右に示すようなPET/CT融合画像が得られ、リンパ節のみならず、小さい骨の病変や心臓の近くにある病変があることが判明しました。

PET/CT検査合体装置で検査された悪性リンパ腫のPET画像

次の図は、全身的な病変の広がりが無いかどうかをPET/CT検査合体装置で検査された胃の悪性リンパ腫の例です。胃の病変に加え、数箇所のリンパ節に異常集積がある他、従来のCT単独検査では指摘されていなかった骨の病変があることが、PET/CT検査合体装置により示されています。この病変はPET単独検査のみでは、リンパ節の病変と判定されていた可能性があります。PET/CT検査合体装置では、同じ体位で同じ位置で撮像されるPET画像とCT画像が同時に得られるため正しい判定ができるのです。

PET/CT検査合体装置で検査された悪性リンパ腫のPET画像