厚南セントヒル病院では、放射線治療機器「サイバーナイフ」を更新いたしました。
以前のサイバーナイフ同様にロボットの先端に小型のリニアアクセラレーター(放射線発生装置)を取り付けたもので、患者さん周囲のいろいろな位置から治療部位に向けて放射線を照射することが可能な装置です。治療用の放射線を照射する直前に、検査時のCT画像と天井に取り付けられた別のX線装置にて得られたリアルタイムのX線画像とを照合し、画像間の誤差分(患者さんの身体の移動)をシステムが補正し、ロボットが治療用放射線を照射する位置に反映することでピンポイントでの照射が可能となります。これらの機構により腫瘍など標的のみに放射線を集中し、正常組織に与える放射線の影響を少なくすることができます。
今回導入した「サイバーナイフM6シリーズ」は以前の「サイバーナイフⅡ」に比べ、1分間に照射できる放射線(X線)の量が2.5倍(400cGy/分→1000cGy/分)となり、治療時間が大幅に短縮されました。
また、コリメーター(機器の先端に配置された放射線の形状を調整する部品)も円形のコリメーターのほかに、腫瘍等の標的に応じて形状が変化するMLC(マルチリーフコリメーター)も使用できるようになり、より精度の高い治療が可能となりました。
従来のサイバーナイフでも実施可能でしたが、頭頚部などの脳神経外科領域以外の体幹部治療も開始いたしました。現在は主に前立腺治療を行っております。
放射線治療を行なう2~3週間前に人体に害の少ない「フィデューシャルマーカー」(金でつくられた目印)を標的の近くに数個挿入しておきます。治療の直前に金マーカーが体内で移動していないかを確認します。治療の際はその金マーカーを目印として、照射を行ないます。呼吸で移動する臓器も患者さんの呼吸に同調してロボットが追尾し、移動しながら標的に向けて放射線を照射します。
治療用寝台もロボット制御の「ロボカウチ®」に変更されました。ロボットが寝台の角度等を修正することで、従来に比べ治療中の位置合わせにかかる時間も短縮されました。
サイバーナイフ担当スタッフにも変更がありました。放射線治療を専門とする放射線科の医師と脳神経外科の医師が新たに赴任されました。また、第一種放射線取扱主任者・医学物理士・放射線治療品質管理士・放射線治療専門放射線技師の資格を有する診療放射線技師が新たに着任いたしました。
治療に関しましては照射精度の検証等に充分な時間をかけ、安全を確認したうえで治療を実施しております。そのためCT等の検査から治療開始まで、数日間お待ち頂く場合がございます。安全を担保したうえでの放射線治療を実施したいと考えておりますのでご理解くださいますようお願い申し上げます。
当院でのサイバーナイフ治療に関するご依頼・ご相談は
地域連携室までご連絡くださいませ。