セムイPET・画像診断センターアクセス
セムイPET・画像診断センターネット検診申し込み

PET検査の得意な病気

HOME >  PET/CT装置 >  PET検査の得意な病気
 

PET検査の得意ながん

以下のがんは、保険適用疾患としてあげられており、特に有用性が認められているものです。
  • 悪性リンパ腫
  • 大腸/直腸がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 転移性肝がん
  • 頭頚部がん
  • 脳腫瘍
  • 悪性黒色腫
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • 乳がん
  • 子宮がん
  • 原発不明がん
ただし、これらのがんについても、PET検査のみで全て見つけ出せるというわけではありません。血液検査による腫瘍マーカーや他画像検査、内視鏡検査などを適切に組み合わせて見つけ出します。
逆に、これらのがん以外でも、PET検査にて発見された症例は数多く報告されています。

PET検査の得意ながん

悪性リンパ腫 肺がん 大腸癌 食道がん 転移性肝がん 胃癌 頭頚部がん 胆道癌 肝臓癌 乳癌 子宮体癌、子宮筋肉腫 卵巣癌 腎癌 原発不明癌 心サルコイドーシス 大型血管炎

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫の病期診断、治療効果判定、再発診断にF-18FDG PET/CT検査は不可欠な検査法となっている。悪性リンパ腫では適切な治療選択のため、その組織型決定は必須であり侵襲が最小限であることも重要です。F-18FDG PET/CTは全身を検索できるだけでなく、グルコース代謝活性の高い組織へ集積を示すため、CTではnormalサイズとされたリンパ節でも、集積が認められた場合には、生検部位の候補として挙げることもできます。ただし、悪性リンパ腫では、組織型によって集積度が異なることが知られており、MALTリンパ腫を含むFDG集積の弱いリンパ腫では画像の評価に注意する必要がある。
悪性リンパ腫における放射線治療計画時においてもF-18FDG PET/CT画像が照射野の指標とされている。また、治療終了時のCTで腫瘤が残存したとき、CTのみでは腫瘍残存と判断される場合にF-18FDG PET/CT検査を行うことによりviableな腫瘍細胞の残存か線維化組織などのみかの区別が行なえる。追加治療の必要性の判断のために治療効果判定は重要です。治療効果判定の時点でF-18FDG PET/CT検査を利用する際には必ずしも陽性的中率が高い検査とはいえない点に注意が必要です。化学療法後の炎症および治癒機転を反映したFDG集積が6~8週間後も持続する症例があるため、F-18FDG PET/CT所見だけがリンパ腫の残存を示唆するような場合には、二次治療に進む前にもう一度CT検査などによる経過観察を行って増大傾向を確認することも勧められます。
FDGの集積は、化学療法や放射線療法などの治療の影響を受けることが知られており、正確な診断のためには、化学療法、免疫化学療法終了後の場合に6~8週間、放射線療法、化学放射線療法後で8~12週間あけることが望ましいとされている。
G-CSF製剤投与によっても骨髄や脾臓の集積が亢進する。

肺がん

肺がんの早期発見

PET/CT検査による肺がんの病期分類
早期肺がんでは、最近では、胸腔鏡を使用した低侵襲の手術や放射線治療により治癒が期待できる状況になっています。早期肺がんを見つけ出すのには、詳細な形態情報を提供するCT検査が最も優秀な方法です。また、喀痰細胞診は、大きな気道にできる早期の肺がんの発見に必要であり、両方の検査の併用が望まれます。
FDG PET検査も肺がん診断に使用されていますが、PET単独装置で早期肺がんを見つけ出すのには限界があり、その原因としては良性の腫瘍や病変でもFDGの異常集積が見られること、悪性でも細胞が疎な状態にあるとFDGが集積し難いこと、呼吸の動きにより小さい病巣のFDG異常集積が不明瞭になってしまうことなどが挙げられます。
一方で、PET検査でも、CT検査で悪性かどうか迷う場合にFDGの異常集積が認められ、肺がん診断の一助となることがあります。セムイPET・画像診断センターに設置されているPET/CT合体装置では、CT検査とPET検査の両方の検査の利点を生かした検査が可能です。また、肺がんの診断においても、 上記のことがらを念頭に置いて診断に当たっています。
小さい肺がんを正しく診断するのには、比較的大きな肺がんの診断に比べ困難な点があります。PET/CT合体装置を使用しても、小さい病巣では、悪性かどうかすぐに判定することが難しい場合もあり、この場合には、当施設では、CTにより大きさの変化をみて行くことや、必要に応じて病巣から細胞を採取して組織学的検査を行なうため気管支鏡や64列CTによるCT透視機能を使用してCTガイド下検査を行なっています。 次の図は、FDG PET検査で異常集積の無かった肺がんの例です。FDG PET単独装置のみの検査では、検出できませんでしたが、CT像では病変は検出されており、CTによる経過観察により病変が次第に大きくなることが判り、組織検査により肺がんと診断されました。セムイPET・画像診断センターにあるPET/CT合体装置では、CT像も同時に得られるため、このような例においても見過ごすことなく診断に有用です。

大腸癌

F-18FDG PET/CT検査による大腸癌のリンパ節転移の診断精度は感度42.9%、特異度87.9%と報告されています。原発巣近傍の傍腸管リンパ節は原発巣と重なり、区別できない場合があり留意すべきです。しかし、傍腸管リンパ節は原発巣摘出時に同時に切除される。その後の再発、転移に影響するリンパ節としてはそれ以外のリンパ節転移診断が重要です。大腸癌リンパ節転移診断に関して他の検査でリンパ節転移が疑われる症例に対してはF-18FDG PET/CT検査は積極的な使用が望まれます。内視鏡不通過症例進行癌で、内視鏡が通過できない例や、重複癌の有無の診断にもF-18FDG PET/CT検査は有用です。大腸癌で肝転移症例の1/4程度に骨転移など他の遠隔転移も発見されるという報告があります。このためF-18FDG PET/CT検査による全身検索が推奨されます。F-18FDG PET/CT検査は大腸癌の再発診断リンパ節再発、腹膜播種、遠隔転移の診断に極めて有用です。腫瘍マーカーの上昇があるのにCT等で再発が不明な場合には特に有効です。
腫瘍マーカーが上昇しCTでは再発巣がみつからなかったが、F-18FDG PET/CT検査で腸管外の再発巣が検出された。

食道がん

食道がんは深達度診断、リンパ節転移、遠隔転移の診断に基づき治療戦略が立てられる。他の消化器癌に比べ食道がんは早期から広範囲の遠隔転移を来たしやすく、再発率も高い特徴があり、治療前の全身評価は重要である。FDG PET/CT検査はとりわけ進行食道がんの治療前における転移巣や他臓器病巣の検出に有用である。術前深達度が T1b SM以深の症例では、術前にFDG PET/CT検査を施行することが望まれる。また治療後の転移再発の診断や治療効果判定などにも有用である。治療開始後早期の集積低下は重要な予測因子となる。食道がんに対する治療成績が向上するに伴い,個々の症例ごとに適切な診断を行いステージングすることは重要である。

① 食道がんの原発巣のFDG PET/CT検査による検出

食道癌のうち扁平上皮癌は細胞密度が高くFDG集積は高度で、食道粘膜の生理的集積は低いため病変とのコントラストはつき易い。本邦では、細胞密度の高い扁平上皮癌がほとんどで、腫瘍組織への集積は高度。しかし、表在癌では見えない。PET装置の空間分解能の制限により、進達度mの早期がんの検出や腫瘍の壁深達度診断は困難であるが、主病巣の検出感度は90%以上と良好で、局所に原発巣が限局しているかどうかの判定は可能で、手術適応の決定に有用とされる。高分化腺癌ではFDG集積は乏しいことが多く、20%程度しか集積陽性とならないため注意が必要である。食道がんのFDG集積は腫瘍増殖能を反映するとされ、手術前や他治療前のFDG PET/CTは予後判定にも有用とされる。

② 食道がんのFDG PET/CTによる病期診断

食道癌はリンパ節転移の頻度が高く、内視鏡による切除術が対象となる早期癌例でも5%前後、外科的切除術が対象となるT2~3では60%前後に転移が観察される。このため食道癌の正確なリンパ節転移診断は治療方法の選択、手術範囲の最小化に極めて重要である。食道がんのFDG PET/CTのリンパ節転移の診断能は、感度46.0ー93.9%、特異度92.1ー99.5%と報告されている。
このうち腫瘍近傍の所属リンパ節転移の検出感度は、原発巣のFDG 放射能の影響で32-57%と低く、病期分類を行う際には、内視鏡、内視鏡超音波検査、CT検査と併用すべきとされる。一方、FDG PET/CTは遠隔の転移リンパ節や転移巣の検出には優れ、CTや食道内視鏡検査で見逃された遠隔転移が約10-28%の例で発見され、術式変更が17-20%程度に起きると報告されている。

③ 食道がんのFDG PET/CTによる治療後の経過観察

F-18 FDG PET/CT検査は食道癌治療後の再発や経過観察中の転移診断に関して極めて有効である。全身検索が可能なFDG PET/CTは、術後や放射線・化学療法後の再発巣の早期検出に優れ、その正診率93%は、CTの78%、超音波内視鏡の78%に対し優れるとの報告がある。治療後の再発・転移診断を目的としてFDG-PET検査を行った場合では、FDG-PET検査施行によって治療方針が変更される割合は20.5%に達し,臨床的有用性は高いとされる。治療後の評価においてPETの診断能は CT を上回り、転移臓器として多い肺、肝臓、骨のうち、特に骨と肝臓の転移診断に優れている。肺転移の検出はCT が最も優れるが、 PET/CT合体装置では、CT診断も同時に行うことで、1回の検査で、より高い正診率を挙げる事が可能である。食道がんの術後再発はけっして少なくなく、手術の結果リンパ節転移がありハイリスクと考えられる場合や,臨床的に再発が疑われる時は,全身の正確な情報を知るためにも積極的にFDG PET/CTを行う必要がある。
術後再発巣のFDG集積の程度は予後とも相関するとされる。FDG PET/CTは、術前化学療法後の手術適応決定に必要な原発巣の治療効果予測、リンパ節転移に対する治療効果、遠隔転移の有無の情報を一度の検査で提供する点で優れており、集約的治療の戦略に重要な役割を果たす。

⑤ 食道がんと重複するがんのFDG PET/CT検査による検出

食道がんでは、同時性や、異時性あわせて18%もの重複癌があり、 食道癌の発生には喫煙と飲酒が大きく関与している.喫煙歴が長い食道癌患者では,しばしば肺がんや下咽頭がん,喉頭がんの合併が見られる.食道がんが見つかった場合は,肺とともに咽頭や喉頭を十分に観察しておく必要がある。このためFDG PET/CTによる治療前の全身評価は重要である。

転移性肝がん

転移性肝がんのFDG PET/CT検査の有用性

1. 転移性肝がんのFDG PET/CT検査による検出

転移性肝がんは、最近は化学療法の急速な進歩、肝切除の進歩により、一部の転移性肝がんでは根治可能であったり、延命効果が認められる。全身を見渡すFDG PET/CT検査では、悪性腫瘍を有する患者の腫瘍進展を全身的に評価する中で、肝転移巣が検出される例は多い。肝転移を検出する上では、肝臓の造影CTやMRI検査、超音波検査が主要な検査となるが、造影CTで検出されなかった転移巣がFDG PET/CTで描出された例も少なからず報告されており、特に横隔膜直下のドーム部の病変の報告が多い。転移性肝がんでは、原発巣の性質がFDG集積の程度に影響し、FDG高集積を示す原発巣からの転移巣は高集積を示すが、FDG集積の弱い前立腺癌や嚢胞性膵癌の肝転移巣は集積が乏しい例があり注意を要する。また、呼吸による動きの影響の強い肝臓では、画像劣化により小さい転移巣が描出しがたくなる傾向があり注意を要する。最近では呼吸同期/息止め撮像による改善が試みられている。

2. 転移性肝がんのFDG PET/CT検査による治療効果判定

FDG PET/CT検査は、他の悪性病変と同様、転移性肝腫瘍の治療効果判定に有用とされる。特に分子標的薬剤の適応がある転移性肝腫瘍で使用した場合には、腫瘍細胞の障害は存在しても腫瘍縮小効果が従来の抗癌剤に比較して乏しい傾向があり,糖代謝変化を提供するFDG PET/CT検査は、大きさの変化に乏しい腫瘍の治療効果判定に有用性は高い。FDG PET/CT検査は、肝転移巣に対するラジオ波焼却術後の再発の有無の検出にも有用で、CT単独検査より検出能は高いと報告されている。

胃癌

 胃には生理的集積があり病変へのFDG集積が隠されることがある。胃の生理的集積は、弓隆部に強い、慢性胃炎での好中球や単核球の浸潤程度に比例する、粘膜萎縮や腸上皮化生に反比例する、H. pylori 感染で高集積するなどの特徴がある。FDG-PETによる胃癌原発巣の描出率は、全体としては60~94%であるが、非充実型の低分化腺癌、印環細胞癌では14%と低いので注意が必要である。
 肝臓、肺および骨転移などの遠隔転移の検出率は100%、傍腹部大動脈リンパ節や左鎖骨上窩リンパ節転移に関しては90%とされ、胃癌の遠隔転移の診断としてF-18FDG PET/CT検査は有用である。胃癌術後の再発や転移診断はCTが第一選択であるが、CT検査でリンパ節転移が疑われた場合、転移の確認あるいはその他のリンパ節転移の広がりを診断する上でPET検査は有効な検査法である。

頭頚部がん

頭頚部がんのFDG PET/CT検査の有用性

 FDG PET/CT検査は病変の質の評価が可能な画像検査でありFDG PET/CT検査だけでかなりの情報を得る利点がある。頭頸部がんと診断されればFDG PET/CT検査と他の検査を並行して行いながら, 治療開始前に原発巣,頸部リンパ節転移, 遠隔転移の有無, 重複がんの有無を確認し,病期の決定に利用されます。頸部リンパ節に関しては,超音波検査などFDG PET/CT検査の両者を利用して、どの範囲までリンパ節転移があるかを決定します。
 遠隔転移に関しては,FDG PET/CT検査は非常に役立ち, 治療開始前に思わぬ転移が発見されることもあります。重複がんに関しても, FDG PET/CT検査は有用である。 患者の自覚症状がない場合でも,食道がん、大腸がんや前立腺がんなど, 頭頸部と離れた位置のがんが発見されることもある。化学療法や放射線治療が行われる場合には、治療終了後の効果や経過観察にも有用です。原発不明の頸部転移性がんの原発巣検索にも, FDG PET/CT検査は有用である。

1.FDG PET/CTによる原発巣の診断

頭頸部がんの原発巣は視診や内視鏡, 生検により診断されることが多く,FDG PET/CT検査は検出目的より原発巣の進展範囲の診断に役立ち治療の選択に役立つ。生検部位の同定や治療計画を行う際にもFDG PET/CT融合画像が助けとなる。FDG-PET は微小な癌の検出には限界があるが、通常の画像診断で描出される大きさの病変の診断には癌種に依らず有効とされる。

2.頭頸部がんのFDG PET/CTによるリンパ節転移診断

治療方針の決定には正確な病期診断が重要である。 従来の画像診断にFDG PET/CT検査を加えることによって病期が変わり, 治療方針が変更されることがある。リンパ節転移に関するFDG PET/CT検査の検出感度は50~94%, 特異度82~100%であり, CT・MRIは各々59~86%, 25~98%である。 PETによるリンパ節転移診断の有用性は評価されているが, サイズの小さいリンパ節の検出は困難で,内部壊死が大半を占めるリンパ節も低い集積であり注意が必要である。 また, 大きな原発巣の近くのリンパ節は原発巣と分離困難なことが多く, これらはN因子偽陰性の原因となる。一方, 炎症性や反応性リンパ節炎には集積するため, 偽陽性となるので注意すべきである。

3.頭頸部がんのFDG PET/CTによる遠隔転移診断や重複癌の検出

遠隔転移や重複がんの有無は、治療方針の決定に不可欠であり、予後に大きく関与するため全身検索は重要である。 FDG PET/CT検査では全身を一回の検査で行えるため遠隔転移や重複癌の検出能は他のモダリティより優れる。遠隔転移の頻度は原発部位やT因子により差があり, 報告により異なるが, 頭頸部がん患者においては遠隔転移または重複癌がPETで約10%(最多で18%)に発見されている。とくに上咽頭癌は遠隔転移を来しやすい。 転移部位としてはリンパ行性では縦隔リンパ節, 血行性では肺, 肝, 骨が多い。頭頸部癌において重複癌の発生は肺, 口腔内, 咽頭, 食道などに認められ, 早期に発見することにより治療法の変更や予後改善につながる。
頭頸部悪性腫瘍の約5%に頸部リンパ節転移の原発不明癌が存在する。FDG PET/CT検査は原発巣の検出に役立つ。原発巣を検出することによって, その部位に特異的な治療ができ, 放射線治療時の適切な照射野決定などに寄与する。 発見される原発巣としては上咽頭, 中咽頭, 舌根部, 梨状陥凹などが多い。 FDG PET/CTによる原発巣の発見頻度は21~47%であり、頸部リンパ節転移があり内視鏡やCT・MRIにて原発巣が不明であったものが, FDG PET/CTで24.5%に検出されたとの報告があります。

4.頭頸部がんのFDG PET/CTによる治療効果判定, 腫瘍残存・再発の診断

治療の効果判定は従来の形態診断では腫瘍縮小や壊死などにより判定するが, FDG PET/CT検査は腫瘍の代謝を反映するため形態的に腫瘍が縮小するより早期に代謝の変化を捉えることができ有用である。CTやMRIでは治療後の瘢痕・肉芽組織・線維化と, 再発との鑑別が困難なことがあるが, 再発腫瘍はFDG高集積を示し, 再発診断にPETは極めて有用である。 FDG PET/CT検査の再発診断に関する検出感度80~100%, 特異度57~100%であり, CT・MRIの58~92%, 50~100%でFDG PET/CT検査の方が感度は高いと言われています。

肝臓癌

一般に低分化型肝細胞癌は、高分化型肝細胞癌や中分化型肝細胞癌と比べFDG集積は高い。再発する肝細胞癌は悪性度が高いためFDG集積が高い傾向がある。分化度の高いものでは、FDGはリン酸化を受けた後再び脱リン酸化され細胞外に拡散するため、十分な集積が得られない。肝外転移が疑われる肝癌で、他の画像検査で発見できない場合、FDG-PETを追加することは有用である。
肝細胞癌は、肝動脈化学塞栓療法などの治療を繰り返すと血管床が減りCT造影剤で染まらない場合があり、このような場合には低酸素で悪性度が高い病変が示唆されFDGが高集積する可能性が高くF-18FDG PET/CTは有用である。
転移性肝癌では、周囲正常組織のFDG集積低下に伴い、より腫瘍/正常比の高い良好なFDG-PET画像が得られる。肝細胞癌原発巣の検出にFDG-PETを用いることは、従来のCT、MRIなどによる画像診断を凌ぐものでないことから勧められないが、肝外転移の検索や治療効果判定については有用性がある。

胆道癌

胆道癌では、F-18FDG PET/CTは腫瘤形成性の腫瘍については優れた検出能を有するが、浸潤型のものについては有用性に乏しく留意が必要である。胆管癌の遠隔転移の診断では、F-18FDG PET/CTはCTに比べ診断能は優れている。

乳癌

初期病期診断、再発診断にFDG-PET/CTを行うことは未だ賛否両論ありますが、胸骨傍を含めたリンパ節転移の診断や、骨転移を含めた遠隔転移診断、NAC後効果判定、再発症例の治療モニタリング、治療後再発診断に有用性は高いと考えられます。

婦人科領域のFDG PETCT検査

子宮頸癌

子宮頸癌のFDG PET・PET/CTの原発巣の腫瘍浸潤や広がり診断は超音波やMRIが必要不可欠ですが、初回の病期分類(ステージング)では、FDG PET・PET/CTの検出感度84%、 特異度 95%程度とされ、骨盤内に限定しても感度79% 特異度99%で、MRIの感度72%、特異度96%やCTの感度47% に比べ同等以上です。進行癌では傍大動脈領域のリンパ節転移の予後への影響は大きいですが、FDG PET/CTの感度84%, 特異度95%程度で、MRIで検出されない群でも感度83.3% 特異度96.7%、正診率92.9%程度とされ、MRI/CTと併用すべき検査と考えられます。ただし、FDG 集積を示す良性のリンパ節とは、集積程度のみからは鑑別困難例があり、腫瘍マーカーや経過観察によるサイズの変化の評価、生検も必要です。術後再発巣の検出では, FDG PET・PET/CTの感度96% 特異度 81%で、早期の再発巣に限っても感度90% 特異度76%で有用性は高い。

子宮体癌

子宮体癌のFDG異常集積は、生理的集積に比し集積の程度は高く辺縁不整、あるいは丸みを帯びた集積が特徴です。リンパ節転移評価では、FDG PET・PET/CTは特異度が78-98%なのに対し感度は60-90%と劣り集積がない場合でも転移を否定できず、臨床的に転移が疑われる例では組織診断や厳重な経過観察も必要です。一方、FDG PETは、術後再発の検出には優れ、感度96–100%、特異度78–88%と報告されています。PET癌検診では、細胞診検診で検出されなかった子宮体癌が発見されることがある。

子宮筋肉腫

子宮筋肉腫の集積度は高めですが、良性の筋腫とオーバーラップがあり、集積程度のみからは鑑別は困難なことも多いが、MRIで疑われる場合には参考所見となります。一方、子宮肉腫の術後再発巣の検出には有用です。

卵巣癌

FDG PET/CTは、卵巣癌の原発巣の検出では、感度80-100% 特異度85-88%の比較的高い診断能を有するが、超音波やMRIに比し優れた正診率を示すものではない。嚢胞性卵巣癌では壁の一部へのFDG集積所見は診断の参考所見となります。 これに対しFDG PET/CTは局所再発診断や胸膜や鎖骨上窩LNなどへの遠隔転移の検出には優れ、感度87%, 特異度42-100%で、他画像検査を凌ぐ成績が得られる。特に、腫瘍マーカーの上昇があるが他画像で再発巣を検出できない場合に有用性は高い。リンパ節転移の検出では、FDG PETの感度は93.0%と良好であるが、特異度が55.6%とやや低く腹腔鏡などによる病理診断が必要な例もあるが、生検すべきリンパ節を同定するのにFDG PETは有用です。

原発不明癌

F-18FDG PET/CT検査は、十分に精査された患者における原発巣検出率には限界があるが, 一度の検査で全身を検索できるという利点があり、原発巣検出感度は30%程度です。転移が先行して見つかり他画像検査で原発巣が検出されていない例では、F-18FDG PET/CT検査で57%程度に検出されます(肺、睾丸、扁桃、卵巣、胆道系、大腸、下咽頭の癌など)。

腎癌

腎細胞癌のうち、頻度が高い淡明細胞癌と嫌色素細胞癌は、正常腎と同等の淡いFDG集積を呈することが多く、F-18FDG PET/CT検査のみでは認識できないのが特徴で、他画像と合わせて診断する必要があります。F-18FDG集積が低いことが時に他の疾患との鑑別に役立ちます。乳頭状腎癌は比較的強いF-18FDG集積を呈します。良性腫瘍である、腎血管筋脂肪腫は腎淡明細胞癌と同等のF-18FDG集積を呈します。

心サルコイドーシス

心サルコイドーシスのFDG-PET/CT検査

FDGは活動性を有するサルコイドーシスに集積し、病変の分布や病勢を評価するのに有用です。FDG PETによる心サルコイドーシスの診断は2012年から保険適応になりました。心サルコイドーシスは不整脈発作など危険な合併症をきたすことがあり、心筋サルコイドーシスの活動性の診断は重要です。
 心筋には生理的なFDG集積があり、生理的なFDG集積を良好にコントロールした上でないと、心サルコイドーシス病変への病的なFDG集積との区別がつぎにくい場合があるため、十分な生理的集積の抑制を得る必要があり、検査前18時間の絶食を推奨しています。心筋はエネルギー源として、脂肪酸、糖、乳酸、など様々な代謝基質を利用することができます。これは、糖しか利用できない脳と対照的です。通常の腫瘍を評価するためのPETの検査条件では、5-6時間の絶食で、心筋は糖を利用し生理的なFDG集積が見られることが多いです。絶食時間を十分に長くすると、血糖値が下がり、遊離脂肪酸が上昇し、心筋はエネルギー源を脂肪酸代謝にシフトし、FDGの生理的集積が低下します。また、高脂肪低炭水化物食を用いる方法も心筋への生理的なFDG集積の抑制の方法として、大変有効とされています。

大型血管炎

大型血管炎FDG-PET検査の保険適用について

2018年4月の診療報酬改定で、大型血管炎(高安動脈炎または巨細胞性動脈炎)に、FDG-PET検査が保険適用されました。保険適用の要件は、高安動脈炎等の大型血管炎において、他の検査で病変の局在又は活動性の判断のつかない患者に使用するということです。大型血管炎と診断された患者さんで、病変の局在または活動性の診断(可視化)を目的」とする場合にFDG-PET/CT検査を実施することができます。大型血管炎に対するFDG-PET/CT検査は、前処置、FDGを投与してから撮影開始までの時間、検査費用など通常のPET/CT検査と同じです
高安動脈炎の診断は、臨床症状と血液検査と画像診断によって行われます。画像検査では、血管造影検査、CT検査、MRI検査、頚動脈エコー検査などが利用されます。FDG-PET/CT検査では、FDGが炎症部位に集まるという性質を利用し、炎症が生じている部位を全身にわたって診断することができ、FDGの集積の程度によって炎症の程度も推定することができます。
医療法人聖比留会 セントヒル病院 セムイPET・画像診断センターのトップページに戻る

PAGE
TOP