学会発表のお知らせ
本研究は、2019年から2022年にかけて当院で血液透析を受けられた患者様にご協力いただき、骨粗鬆症の治療薬であるデノスマブが、透析患者さんの大動脈弁石灰化に与える影響を調査したものです 。
• 学会名: 第36回日本心エコー図学会学術集会
演題名:デノスマブ投与が透析患者の大動脈弁石灰化に与える影響についての検討
○ 開催地:名古屋
○ 開催期間:2025年5月18日(日)~19日(月)
• 学会名: アジア太平洋心臓病学会(APSC 2025)
演題名:Effects of Denosumab on Aortic Valve Calcification in Dialysis Patients
○ 開催地: 釜山(韓国)
○ 開催期間:2025年5月17日(土)~19日(月)
研究概要
透析患者さんにとって、血管や心臓弁の石灰化は重要な課題の一つです 。私たちは以前、骨粗鬆症の治療薬であるデノスマブが、骨密度を増加させる一方で、腹部大動脈の血管石灰化を促進する可能性を報告しました 。しかし、心臓の大動脈弁における石灰化への影響は明らかになっていませんでした 。
今回の研究では、当院の血液透析患者さん65名を対象に、デノスマブ使用の有無による心エコー検査の変化を後ろ向きに比較検討しました 。その結果、デノスマブを使用した群では、使用していない群と比較して大動脈弁を通過する血流速度の変化率が有意に高いことが示されました(p<0.05) 。
ただし、この結果は、治療開始前の患者さんの状態の違いが影響している可能性も考えられます 。そのため、この研究結果だけで「デノスマブが直接的に大動脈弁の石灰化を進行させる」と結論づけることはできず、今後さらに症例数を増やした詳細な検討が必要であると考えています 。
当院では、今後も山口大学をはじめとする研究機関と密に連携し、患者さんにより良い医療を提供できるよう、日々の診療と研究に邁進してまいります。